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広島高等裁判所岡山支部 昭和49年(行コ)1号 判決

岡山市鹿田町一丁目一番八号

控訴人

三沢久直

同市天神町三番二三号

被控訴人

岡山税務署長

梶原茂

右指定代理人

清水利夫

松下能英

島津巌

三坂節男

井上宣

青井英一

右当事者間の相続税の更正ならびに加算税決定の取消請求控訴事件について、当裁判所は次のとおり判決する。

主文

本件控訴を棄却する。

控訴費用は控訴人の負担とする。

事実

控訴人は「原判決を取消す。被控訴人が控訴人に対し昭和四六年八月三一日付をもつて控訴人の相続税についてなした取得財産価額八、六九七、〇八一円(課税価額八、六九七、〇〇〇円)、相続税額四四八、一一〇円、過少申告加算税一八、七〇〇円とする更正及び賦課処分(ただし、相続税額四〇五、五五二円、過少申告加算税一六、五〇〇円を超える部分を除く)を取り消す。訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。」との判決を求め、被控訴代理人は主文同旨の判決を求めた。

当事者双方の事実上及び法律上の主張並びに証拠の関係は次のとおり付加するほかは原判決事実摘示と同一であるから、ここにこれを引用する。

(控訴人の主張)

本件従前の土地のうちには、仮換地の指定を受けていない岡山市大供一九〇番地の一八用悪水路三・三平方メートルが存するので、従前の土地の価額が本件仮換地の評価額に相当するものとはいいがたい。

(被控訴人の主張)

被控訴人が課税の対象としたのは、岡山市大供一九〇番地の一五宅地一八八・四二平方メートル及び同市大供一九二番地の一宅地三六九・五八平方メートルであり、控訴人が主張する同市大供一九〇番地の一八については、被控訴人は本件更正処分時において、控訴人の相続取得物件であることを把握していなかつた関係上、同土地は右更正処分の課税対象物件には含まれていない。

(証拠)

控訴人は甲第六ないし第一〇号証を提出し、乙第六ないし第八号証の成立を認め、被控訴代理人は乙第六ないし第八号証を提出し、右甲号各証の成立を認めた。

理由

当裁判所は当審における証拠調べの結果をも斟酌して審究した結果、控訴人の本訴請求はこれを棄却すべきものと判断するものであり、その理由は次に付加するほかは原判決の理由記載と同一であるからここにこれを引用する。

一、控訴人は本件従前の土地のうちには仮換地の指定を受けていない岡山市大供一九〇番地の一八用悪水路三・三平方メートルが存するので、従前の土地の価額を本件仮換地の評価をもつて計るには不当である旨主張するところ、成立に争いのない甲第九号証によれば、控訴人が右土地を訴外三沢武一から相続したことが認められるけれども、被控訴人が課税の対象にした控訴人の土地物件は本判決で引用する原判決理由二説示の岡山市大供一九〇番地の一五宅地一八八・四二平方メートル及び同市大供一九二番地の一宅地三六九・五八平方メートルの二筆であり、そしてその現実の評価を右二筆の土地の仮換地に基づいてなしたというに過ぎないものであるから、控訴人が右従前の土地には含まれないこれとは別個の土地を持ち出して、右仮換地に基づいてなした右従前の土地の評価の不当をいうことは、主張自体失当というべきである。

そうすると、原判決は相当であり、本件控訴は理由がないので、これを棄却すべく、訴訟費用の負担につき民訴法九五条、八九条を適用して主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 渡辺忠之 裁判官 山下進 裁判官 篠森眞之)

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